定期調査報告でよくいただくご相談
定期調査報告とは
定期調査報告とは、定期報告制度により特殊建築物の一定規模以上の所有者・管理者に実施義務が定められているもので、建物や設備を定期的に調査・検査し報告しなければなりません。
定期報告制度とは、建築基準法第12条第1項及び第3項において、建築物等を良好な状態に維持することを目的として規定されている制度であり、したがってこれに従わない場合罰則を受けることもあるため注意が必要です。
主に対象となる施設は入居する高齢者福祉施設や病院等の入所が必要な施設、大規模な店舗、ホテルなどの不特定多数の人が利用する建物で特殊建築物に該当する施設になります。
これらの施設で構造の老朽化や避難設備の不備、建築設備の作動不良などがあると大きな事故や災害が発生するおそれがあります。
よくいただくご相談
増改築を行ったけれど…
法律を理解しないで増改築や用途変更をしてしまった場合、違法状態になっていたり災害時の被害を大きくしてしまいます。これらが原因でスタッフや利用者、周辺の通行人等に被害が及んだ場合、その責任は「建物所有者」となってしまうため、リスクは非常に大きいです。このような理由で不特定多数の利用がある建物は、建物や設備の状態を定期的に調べることと法律で定められています。 なお、この調査制度では一級建築士や特定建築物調査員などの専門資格者に調査を委託し、行政に報告することが建物所有者に義務付けられています。
消防設備の点検報告とは異なるのか?
「屋内消火栓や火災報知器の検査や報告を消防署に毎年提出しているから、それでいいんだよね?」という問い合わせをよく頂きますが、実は建築基準法の「定期調査報告」とは別のものです。
建物や設備については、様々な法令に基づく調査・検査があります。
報告の期日はいつまで?
「定期報告のお知らせ」が各自治体の建設部より対象施設に送付されます。エリアによって報告書の提出期日はことなるため、確認しておく必要があります。愛媛県と松山市の場合は6月~10月末日の間に、報告する必要があります。地域によって報告時期が異なるため、該当する自治体に確認しておく必要があります。
調査結果をメンテナンス計画に活用
定期調査は、建物版の健康診断のようなものです。防災面のみ重視されがちな定期調査ですが、建物の維持管理という視点では、「耐用年数を伸ばすために修繕した方がいい部分を見つける調査」にもなっています。建物に大きなダメージが出てしまうと、その修繕費用は莫大なものとなります。
そうなる前に、どうしても直しておいた方がいい部分を、この定期調査で知ることができます。
対応可能な定期報告・調査
特殊建築物定期調査(建築)【3年に1回】
調査箇所 | 調査内容 |
敷地及び地盤 | 敷地内の通路,擁壁の状況など |
建築物の外部 | 外壁の劣化の状況など |
屋上及び屋根 | 屋上周りの劣化の状況など |
建築物の内部 | 防火区画や、床、天井の状況など |
避難施設等 | 避難施設、非常用設備の状況など |
建築設備定期検査【毎年または3年に1回】
調査箇所 | 調査内容 |
換気設備 | 排気風量の測定など |
排煙設備 | 動作確認、風量測定など |
非常用の照明装置 | 点灯の確認など |
給排水設備 | 受水タンクの点検など |
防火設備検査【毎年】
防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャー等