障がい者支援施設設計で学んだ、入居者の変化に寄り添う空間づくり
こんにちは。
介護福祉施設設計.com は地元愛媛県・香川県で介護福祉施設の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者施設の建築設計やリノベーションなどの設計業務を行っている建築設計事務所です。
今回は、将来起こりうる変化を見据えた、入居者の変化に寄り添う施設づくりについてご紹介します。
障がい者支援施設では、入居者の特性や生活のリズムが1人1人異なります。また、入居者が変われば必要となる設備、必要な支援内容も変わっていきます。このため、障がい者支援施設設計では、将来の変化に対応できる柔軟性が重要です。
福祉施設設計やバリアフリー設計でも同じですが、最初から「変化に対応できる空間」を作っておくことで、入居者が入れ替わったときも無理なく対応できます。これが施設運営の安心にもつながります。
今回のご相談は、「将来の入居者によってはトイレが必要になるかもしれない。」というご不安から始まりました。
障がい者支援施設では、入居者の身体状況や支援の内容により、必要な設備が大きく変わります。中でもトイレは、生活動線や給排水計画をしっかり考える必要がある設備の一つです。 後からトイレを新設するには、給排水工事や換気の追加工事が必要になり、費用も工期も大きくなります。そこで、「先に準備しておく」という選択が、施設運営における負担を大きく減らすことになります。
今回当社がご提案したのは、押入の内部の床下に将来トイレを設置できるよう事前準備をしておく設計です。
押入は普段は収納として利用し、必要になった時にトイレへ変更できるよう、次のような工夫を行いました。
①給排水のルートを先に確保しておく
将来トイレに必要な水まわりの工事を最小限にするため、床下に配管スペースを確保しました。
②押入の寸法をトイレへ転用できるサイズに調整
将来使うことを見据えて、便器や清掃スペースが確保できるよう広さを調整しています。
③最小限の工事でトイレへ改修できる構造
上記の準備により、必要になったタイミングで壁や床の一部を調整するだけでトイレに変更可能です。
このような「可変性のある空間」は、障がい者支援施設設計においてとても大切な考え方です。今は使わない設備でも、準備しておくことで施設の使い方が大きく広がります。
可変性とは、用途を変えられる設計のことです。
障がい者支援施設だけでなく、福祉施設全般で求められる考え方です。
・将来の工事費が抑えられる
・工期が短くなるため入居者の生活への影響が少ない
・入居者が変わっても柔軟に対応できる
・空間のムダがなくなることで運営がしやすくなる
このように、可変性のある空間づくりは、施設を長く使い続けるための大きなメリットがあります。
実際にお客様からは、
「収納が将来トイレに変更できる柔軟さがありがたいです。」
というお声をいただきました。
将来の入居者に対応できるという安心感が、施設運営の負担を大きく軽減します。
障がい者支援施設設計では、入居者の特性や支援内容が変わることを前提にした空間づくりが重要です。今回の「押入内部をトイレへ変更できる設計」は、その柔軟性を高める一例となりました。
当社では、利用者・運営者の双方が使いやすい施設設計を心がけています。
障がい者支援施設や福祉施設の設計でお困りの際は、ぜひご相談ください。
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愛媛県、香川県など四国エリアで介護福祉施設の建築を検討されている方は、介護福祉施設設計.com にお任せください。




