障がい者支援施設の巾木について
こんにちは。
介護福祉施設設計.com は地元愛媛県・香川県で介護福祉施設の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者施設の建築設計やリノベーションなどの設計業務を行っている建築設計事務所です。
今回は、障がい者支援施設の巾木をご紹介いたします。
障がい者支援施設では、「巾木(はばき)」が思わぬトラブルにつながることがあります。巾木とは壁と床の境目に取り付ける細い部材のことで、壁をキズから守る役割があります。しかし、障がいのある方の中には、この巾木が気になってしまい、指先でつまんで剥がしてしまうことがあります。
巾木が剥がれてしまうと、壁や床の一部が欠けたり、剥がれた巾木の端でケガをしてしまう危険性もあります。また、修繕費用が繰り返し発生するため、施設の維持管理に負担がかかってしまいます。そのため、巾木があることが逆にデメリットとなる場合があるのです。 こうした問題を解消するために、私たちは「巾木をなくし、床材を立ち上げる」という方法をご提案しています。床材を立ち上げるとは、床に使っている長尺シートなどを壁側へ数センチ立ち上げて施工する方法です。巾木の代わりに床材が壁の一部を保護するかたちになります。
この方法には大きく3つのメリットがあります。
①巾木を剥がされる心配がない
巾木そのものが存在しないため、利用者の方が気になって触り、剥がしてしまうというトラブルを防ぐことができます。
②掃除しやすく衛生的
床材と壁の境目に段差が少ないため、ゴミがたまりにくく掃除がしやすい構造になります。衛生管理が重要な障がい者支援施設には大きな利点です。
③長期的なメンテナンス負担が軽い
巾木の交換や補修が不要になり、施設全体の維持管理コストを抑えられます。
障がい者支援施設では近年、巾木をなくした設計が増えており、利用者の安全性と管理のしやすさから採用されるケースが多くなっています。
今回ご相談いただいた施設でも、「見学した施設で床材を立ち上げており、自分たちの施設でも採用したい」というお声がありました。
当初は一般的な巾木の設置も検討されていましたが、利用者の方が巾木を剥がしてしまう可能性がある点をお伝えし、巾木をなくし床材を立ち上げる方法をご提案しました。
また、巾木をなくす方法は便利ですが、いくつかの注意点があります。
・床材の種類選びが重要
耐久性が高く、カット部分がめくれにくい材質を選ぶ必要があります。
・立ち上げ高さの検討
一般的には5〜10cm程度ですが、施設の用途や掃除道具との相性も考えて決めます。
・全体のデザインバランス
立ち上げ部の色や仕上げが壁と大きく違うと浮いて見えることがあるため、仕上げの組み合わせを丁寧に検討します。
こうした点を押さえることで、巾木がない空間でも長く使える快適な環境をつくることができます。
障がい者支援施設では、利用者の安全性と建物の耐久性を考えるうえで「巾木」をどう扱うかは大切なポイントです。巾木をなくして床材を立ち上げる方法は、剥がされる心配がなく、掃除がしやすく、長期的なメンテナンス負担も少なくなるため、とても効果的な選択肢です。
施設の使い方や利用者の特性に合わせて、巾木の有無を含めた設計を検討することが重要です。
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